特集:山下商店街を楽しむ!
No.00048
2017.04.03更新
『縁があって山下! 人も町もあったかい』〜若手店主との座談会(後編)

山下商店街の魅力って何だろう?そんな疑問をテーマに、若手店主たちを招いて行った座談会の<後編>です。

なんと!!あめこやの女将さんも参戦!商店街ならではのエピソードも飛び出し、盛り上がってました。まだ、前編を読んでない方は、先月の記事からご覧下さい。

――山下商店街ではないけれど……お手本にしたい人気パン屋も‼

東風:インスタで「豪徳寺」って検索すると、この先のパン屋Uさんが上がってきますよね‼  秋山:6万フォローだそうですよ。ちょっとした芸能人と同じくらい!

上田:朝、蕎麦を打っていると、午前9時前から若い女性が歩いて行って、あの白い袋をうれしそうに抱えて帰ってくる‼(笑) 特に土日はすごいです!

上田奥さん:いつもお店の前を通るので、「今日も並んでる‼」ってチェックしてます! パンを買ったお客さまが、うちでランチしてくれるんですよ。ちょっとしたおこぼれですね(笑)。

秋山:うちにも、カフェ待ちの人が立ち寄ってくれるんですよ! ターゲット層が重なっているので、最近は9時半に店を開けています。

東風:そんなに、お客さんの入りは違うんですか?

秋山:全然! そのうち、定休日も合わせちゃおうかって思うくらい(笑)! 正直言って、山下商店街じゃないっていうのは痛いです。でも、東風さんもそうですが、接客が抜群にいいんです‼ 僕も何回かお店に行きましたが、すぐに顔を覚えてくれたり。

上田:そうなんです、本当にマメなんですよ。

秋山:あんなにたくさんのお客さまが来る人気店なのに、努力していて見習うことが多いです。

上田奥さん:子育て世代って、行く場所が少ないんですよ。特にベビーを連れた若いママとか、パンを買ってカフェスペースで食べられるお店って貴重だと思うんです。そういうお店がもっと増えるといいなぁって思います。

――みなさん、今後の展開として支店は計画していますか?

秋山:考えないことはないんですけど……。「あめこや」さんも同じだと思いますが、うちは時計の修理をする技術職なので、支店を出すのはハードルが高いですね。

上田:飲食以外の業態だったら、可能性はあるかもしれません。量産したり、物販とも違うので。対「人」でやっている商売なので、お客さまの好みを覚えて、1回の来店では終わらせず、次もつなげていく。人が好きじゃないとやっていけない。店を増やすっていうことよりも、オンリーワンの店でいいんじゃないかって思っています。東風さんは、まさにオンリーワンですよね。

東風:ありがとうございます! 僕の所は水曜・木曜が定休日なので、ほかの占い師さんにお店を貸して有効的に使えないかって考えたこともあるんです。でも、僕の時よりお客さまがたくさん来たら、ショックだなぁって(笑)。今のところ、支店は考えていません。

秋山:ネットで買える時計をわざわざお店に買いに来てくれる、僕らに会いに来てくれる。これをクリアできないと支店は出せません。

――今の状況で、将来をどう考えていますか?

秋山:それは、悩みどころです。うちは、商品も卸していますが、自分が直したものもちゃんと扱っている店がいい。数年前に骨折して、仕事ができなくなった時に、ひとりでやっていくことのリスクは考えました。そうすると、ある程度規模が必要で、人を入れてチームとして仕事をやることも視野に入れないといけないんじゃないかと、何かしら発展させていきたいと考えています。

上田:店の一番の柱が蕎麦ですが、とてもいい材料を使っているんです。店売りの蕎麦以外のあぶれてしまう材料を違う形で消費できないか……と思っています。7、8年前から、趣味で蕎麦の栽培もやっていますが、収入としてやっていくのは大変ですね。蕎麦を素材に使った土産菓子とか、汎用性があるものを作りたいです。ただ、ものすごくこだわってしまって完全手作業なので、量産ができない! 片手間にできない! というジレンマも。昨年、菓子製造業の許可も取ったので、今後はいろいろなアイデアを展開していきたいです。 秋山:11月の山下味覚祭りの蕎麦菓子、とってもおいしかったですよ!

上田:ありがとうございます! あれも試験的に作ってみたものなんです。豪徳寺在住の作家さんにパッケージのデザインしてもらって、山下商店街を宣伝するものになればいいと思っています。

東風:僕が今まで食べてきた10割蕎麦って、太くてボソボソしてのど越しがいまひとつでした。でも、「あめこや」さんの蕎麦は、本当に食べやすいです。あの技術はすごいですよね。

上田:素材の鮮度が一番です! あとは保管も重要なんです。製粉の仕方もありますね。

――豪徳寺のよさって、古さもありますよね


東風:「理容オリエンタル」さんに挨拶に伺って、店内を見せてもらった時の衝撃って言ったらなかったです‼ 映画「20世紀少年」に出てくるような、昭和感に感激しました。「桜井ミシン電気商会」さんも、古き良き店ですよね。

秋山:うちは、あそこで工事をやってもらいました。

上田:「理容オリエンタル」さんは80年だそうですよ。「代一元」さんも今のご主人の代で20年経っている。歴史のあるお店が多いですよね。

――商店街がもっとこうなったらいいなぁと言う希望はありますか?

秋山:商店街って、すごく難しい形だって思うんです。みんな一国一城の主だから。百貨店だったら、向いている方向は決まっていて、セールの指示があればセールをする。おしゃれな売り場にしろって言われれば、おしゃれにする。でも、商店街は自由。おしゃれな町になんてしなくてもいいし……、だからこそ老舗店が成り立っている。

上田:定休日も自由! 僕は、お客さま目線で見ても土日は店を開けたい。でも、老舗店は休み……。商売気がないっていうか。土日は、アピールできるいい機会だって思うんですけど。

東風:土日はすごく忙しいって思っていたんですけど、平日のほうが忙しかったり。やっぱり、商店街の中には日曜休みのお店も多いって言うのもあるのかもしれませんよね。

――東風さん、きれいな時計をしていますね。

東風:僕がいま身に付けている時計は、アクセサリーなんですけど。エルオクロックさんに電池交換してもらいました。すごく気に入っていて、毎日身に付けています。

上田:水仕事なので、普段ほとんど時計はしないんです。スマホもあるし、あえて時計をする必要がないっていうか……。でも、秋山さんから「時計のある生活」を提案してもらって。休日に腕時計をして外出することで、人生の楽しみ、スパイスになるっていうか。馴染みがない人にも、ぜひ時計を身に付けてほしいですね!

秋山:東風さんの占いで、上田さんは海外に行くと運気が上がるって言われたそうですね。

上田:そうなんですよ! 海外にすぐには行けないので、海外ものを身に付けようと思って。エルオクロックさんで時計を購入しました。

――そういえば、豪徳寺って安全な町ですよね。

秋山:渋谷とか下北沢みたいに、ふらっと立ち寄る人はそれほど多くないけれど、安心して商売ができる。大きな商圏じゃないからこそ、対面でしっかり話ができるのはこの町のよさですよね。

上田奥さん:娘がまだ3歳くらいの時、私が高熱が出て寝込んでいて……。うとうとしていたら、娘がいない‼ 夜の8時過ぎ、40度の熱でふらふらしながら探しに行ったら、「鳥武」の若大将が娘を連れて来てくれて。あの時は、本当にありがたかったです。

上田:店を出していたっていうのもあって、どこに住んでいて、娘の顔も知っているし、地域の目がある。

上田奥さん:もう「鳥武」さんに足向けて寝られないです。

秋山:顔見知りになっているっていうのは、安心感がありますよね。

上田奥さん:まだ子育て初心者だった頃のことなんですけど。娘が熱を出してオロオロしていたら、「大一果物」のお母さんが「あんた大丈夫? リンゴをすりおろして食べさせなさい」って声を掛けてくれたことがありました。また別の日なんですけど、疲れて食事を作る気力もなくて、お赤飯を買って済ませようとしていたら「そんな日もあるわよ」って東肥軒の女将さんの言葉で救われたこともありました。孤独に子育てをしている人って、意外と多いと思うんです。お節介かもしれないけど、ちょっとした声掛けがある町が豪徳寺なんですよね。

一同:確かに‼ 

(取材日:2017年1月23日)

◆編集後記

豪徳寺のいいところは、人と町が温かいこと。職種も業種も異なるアラフォー世代から、豪徳寺ならではのエピソードがぽんぽん飛び出してきて、うなずいたり感心したり……改めて「いい町」だと実感した今回の鼎談でした。これからもさまざまな面から、山下商店街の魅力を発信していきたいと思います。
【写真 中央】あめこや 上田善宗(うえだ・よしむね)
手打ち蕎麦を楽しめる店として、2006年9月にオープン。地元の家族連れや蕎麦・日本酒好きなど、おいしいもの好きに親しまれる。店名は、「木の家具が使い込んで飴色になるよう、味わい深い店に」…と願いを込めて命名。レトロな内装は夫婦で手作り。

【左】L’oclock(エルオクロック) 秋山直人(あきやま・なおと)
1960〜70年代の「気軽なカジュアルビンテージウォッチ」を取り揃えるセレクトショップとして、2013年4月にオープン。若い世代から60、70代まで幅広い層から支持を集める。季節に合わせたイラスト展やクラッシックカメラセールなどの企画も!

【右】占い師・東風(こち)
手相、タロット、四柱推命、九星気学を中心に占い、2015年9月にオープン。やさしい笑顔と温和な人柄で人びとを包み込む。日頃の悩みや迷い、人生の岐路に立つ時、そっと背中を押してくれる。1972年生まれ、千葉市出身

特集:山下商店街を楽しむ